『殿、また2〜3年ほど行方不明になっていたかと思ったら、最近はよくWebに顔を出しているようですが、どういう風の吹き回しですか?』
「ああ、爺か。ここに至るまで色々あったのだよ。」
『それではさっぱりわけがわかりません。』
「そうか、では順を追って説明するとだ、3年前に幕府に背いてだな・・・」
『幕府・・・?つまりは会社の事ですかな?』
「味気ない言い方をすれば、そうとも言うな。とにかく3年前に思うところあって幕府を去ってだな、伴天連に仕えたわけだ。」
『いわゆる外資系ですな。』
「いちいち味気ない言い方に言い直さんでもいい。」
『とはいえ、殿の言葉のままではさっぱり意味がわかりません。気にせず続きを。』
「結局伴天連の教えにもなじめず、独立政府に仕えたのだ。」
『はぁ、ベンチャー系ですな。』
「で、ここでも周囲と合わず野に下って・・・」
『全く、どこまでもワガママな・・・』
「黙れ。とにかく傘貼りの内職でも探してふらついていた所、かつての幕府から声をかけられ、帰参を果たしたというわけだ。で、昔ほどには忙しく無いので多少はWebに出る時間も心の余裕もあるという物。」
『それはそれは』
「とはいえ、昔お世話になったサイトが大分無くなっていて、寂しい限りだ。」
『この数年、ほぼ全く音沙汰が無かった殿にだけは言われたくないと思いますが。』
「それは言ってくれるな・・・。」

『ここまでに色々あったのは分かりましたが、妙に長ったらしいわけのわからないハンドルネームに改名したのはどういう心境の表れなのですか?』
「アメリカにプリンスというアーティストが居てだな・・・」
『また話題がえらい飛躍を・・・』
「黙って聞け。そのプリンスがある時、それまでの自分を捨てるという事で読みようの無い記号に改名した。で、読み方を迷った世間はいつしか彼を"かつてプリンスと呼ばれたアーティスト"、すなわち"The Artist Formerly Known As Prince"と呼ぶようになったわけだ。」
『プリンス気取りですか。おこがましい。』
「黙れ。アーティストでは無く"The Man"・・・、"かつてトラヱもんと呼ばれた男"に留めているのが控えめだと思わんか?」
『自分で言ってりゃあ世話が無い・・・。』
「ほぅ、久しぶりに斬られたいと見える・・・。」

『い、いえ(話をそらさないと・・・)、そ、それはそうとプリンスに倣った理由は何か思うところでもあるのですかな?』
「良く聞いてくれた。実はハンドルを変えようと思うのだ。だが急に変えてしまうとかつてお世話になった人たちに分からないだろうから、移行期間というやつだ。」
『改名?どうしてまたそのような・・・?』
「一つには何年間も音沙汰無しで、それまでと全く同じ名前で帰ってくるのに抵抗があったというのがある。それと、新しいハンドルで御家再興・・・、もう一度Webサイトを作ってみようと目論んでおるのだ。もちろん、今すぐにとは行かんが・・・。」
『Webサイト?再び作詞関係ですかな?』
「そっちはこの数年さっぱりご無沙汰だ。今何か書けと言われても"僕の心の脆弱性、修正パッチをあてておくれよ"とか"僕を拒む君の心のファイアウォールをクラックさせてよ"なんてのしか思い浮かばん」
『それはそれで個人的に聞いてみたい気はしますが、あまりに酷い・・・』
「だろ?我ながらお話にならない。そこで写真の道にジョブチェンジしたわけだ。」
『写真・・・、女子高生のスカートの中とかそんなのですかな?』
「ええいっ、貴様も幕府の連中と同じような事を言いよってからに!」
『だって、殿のキャラクターを考えると・・・』
「重ね重ねの無礼な発言、もう我慢ならん!斬るっ!」
ザバッ!
『結局、いつもの事ながらこうなるのでござるか・・・』